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ルサット設立以来国際間の通信は静止衛星を用いて行われてきた。90年代に入りインテルサットと新規算入事業者との調整手続きが簡素化された結果、現在4つの非インテルサット系国際衛星通信システムが運用されている。また世界で運用されている国内および地域衛星システムは増加しており、さらに周辺諸国や国際問の通信ヘザービスを拡大する傾向にある。表3.2.4−1は、実用の通信・放送衛星の打ち上げ数、現在運用中の衛星および言十画されている衛星の数である。
3.2.4.2 移動体衛星通信システム
陸上、海上、航空を移動する地球局と衛星の間で行う通信を移動体衛星通信という。表3.2.4−2のとおり移動体衛星通信は1979年のインマルサット設立に始まる船舶電話を主なサービスとする第I期、第二世代インマルサット衛星による航空・陸上移動体衛星通信サービスと通信回線のディジタル化、および第三世代衛星により地域的移動体衛星通信サービスが導入された第?期、静止衛星や複数の周回衛星を用いて携帯電話型夕一ミナルの実現やデータ通信サービスをめざす第皿期に分けられる。またインマルサット以外では、既存の静止通信衛星を使用した非音声型移動体衛星通信が80年代半ばから行われてきた。90年代に入ると専用の静止衛星を用いて双方向の音声通信を提供するシステムが登場した。これら非インマルサット系移動体衛星通信サービスを表3.2.4−3に示す。
3.2.4.3非静止衛星を用いたグローバル移動体衛星通信システム
米国企業を中心に、周回衛星を用いてグローバルな移動体衛星通信サービスを提供するシステムの計画が2000年頃のサービス開始をめざして進められている。表3.2.4−4にこれらのシステムの概要を示す。有名なIRIDIUMやICOの他にも様々なシステムが提案されてきた(1)。実験衛星の提案も含めると相当な数になるが、ここには事業として計画されているものを挙げた。ORBCOM以外はどれも携帯端末により音声、ぺ一ジング、データ、ファクシミリ等の通信を予定している。
3.2.4.4非静止衛星を用いた通信の特徴
非静止衛星(周回衛星)を用いた通信システムの特徴を表3.2.4−5に示す。LEO(Low Earth Orbit)は高度500km〜1,500?経度以下、MEO(Mediu? Earth Orbit)は5,000?〜15,000?程度の高度で多くは円軌道である。F?(米連邦通信委員会)はLEOを音声伝送が可能で1GHz以上を使用するBig LEOと、データ伝送のみで1GHz以下を使うLittIeLEOに分けている。HE0は長楕円軌道で、遠地点高度は40,000?以上にもなる。多くのHEOシステムは軌道傾斜角を63.4。に取り、遠地点で最も緯度が高い地点の上空を通る軌道としている。高緯度地域では静止衛星よりも高仰角となるのでヨーロッパ諸国で移動体衛星通信システムヘの適用の検討が行われた。旧ソ連では、1965年以来MOLNIYA衛星が国内衛星通信に使われている。
3.2.4.5非静止衛星通信システムの衛星数
周回衛星では地上から衛星が見えている時間に限りがあるので、常時通信を行うためには、多数の衛星を軌道上に配置し、地上局では可視になる衛星を順次切り替えて通信を行う必用が

 

 

 

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